US Big Tech (GAFA) 面接では何をするのか

2年半ぶりに転職活動をして、AmazonからMeta (旧Facebook)に転職しました。興味のある人の今後の参考になればと思い、大まかなプロセスをまとめておきます。MetaのプロセスはAmazonでの面接とかなりプロセスとして重なっていたので、その他 US Big Tech (及びその影響下にあるTech 系Company)でも参考になるはずです。GAFAと書きましたが今はMAAMA(Microsoft, Amazon, Alphabet, Meta, Apple)ですね。

なお自分はTechnical Program Manager (TPM)という役割 (Job title)で、面接の内容は役割によって違います。少なくともTPMにCoding Interviewは知る限りではありません。

#TPM – プロジェクトの実行とリリースに責任を持つという役職です。複数チームが関わる中規模ー大規模プロジェクトに主に投入されます。日本で言うプロジェクトマネージャーに近いですが、’Technical’ とあるようにエンジニアと設計や優先度、トレードオフなどの技術的な詳細についての議論もリードします。

ステップ0 リクルータとつながる

US のTech 系の会社には、有望な候補者を見つけてきて面接につなげるリクルータという役職があります。リクルータは最初のフィルターなので、その人の目に留まれば少なくとも具体的な一候補者としてその会社と話を始めることができます。リクルータは通常採用権はありませんが、常に窓口になるのでいい関係を築いておくことが重要です。

世にはカバーレターの書き方やレジュメの書き方などの指南がいろいろあります。それらも参考にするに越したことはないですが、自分としての最初のステップはリクルータとつながることです。レジュメやカバーレターを磨くのはその一つの手段でしかなく、人気の会社ではそれだけに頼っているとなかなか進まないことが往々にしてあります。

それではリクルータとどうつながるかというと、身も蓋もないですが自分のネットワーク(コネ)で中で働いている人とつながるのが一番有力です。わらしべ長者的に会社をステップアップして、LinkedIn経由でリクルータからコンタクトしてもらうという手もあります。自分もAmazonに入ってからはリクルータからコンタクトされる回数が圧倒的に増えました。一方でかなり遠いつながりの知り合いをAmazonに推薦したこともあります。

ステップ1 リクルータと電話

リクルータの目に留まると、大体の場合リクルータとの電話がセットされます。ここでは基本的なところで採用ステップに入れていいかが確認されます。具体的には次のステップである電話面接に進みたいかの確認、Visaの状況、基本的な経験の確認、などです。希望年収や、現在の役職についての質問も定番です。場合によってはこのタイミングでスキルに関わる基本的な質問をされることもあります。基本的にはリクルータは候補者を探していてかつ受かってもらいたいので、採用自体やポジションについて質問があればこのタイミングでかなり答えてもらえるはずです。

ステップ2 電話面接

ステップ1で特に問題がなければ、次のステップとして電話面接に進みます。ここでは実際に同じ役職をしている社員から、経験などを聞かれます。TPMの場合には以下のようなことを大抵聞かれます。Engineering Managerだと、ここにシステムの運用に関する質問や、部下の育成についての質問が入ってくるのではと思います。Engineer ポジションだと、ここで簡単なコーディングやアルゴリズムに関する質問が入ってくるかもしれません。 

A – これまでの中で最も難しかったプロジェクトについての詳細。どのような役割を果たしたか、リスクに対してどう対処したか、Tech Stackとそのトレードオフなど。この手の質問は、過去の経験を棚卸ししておくこと、TPMとしてはできるだけプロジェクト全体に関わるような例を挙げることがおそらくポイントです。細かいチームレベルの話や実際の実装の話をしてしまうと、現場レベルの話以上のことはできないのではという印象を持たれる可能性があります。

B – TPMとして心がけていることは何かを試される質問。何もわかっていないところからどうプロジェクトを始めるか、優先順位をつける判断基準は何か、など。

C – システムデザイン。Instagramを作りたいけどどうやって作る?Uberみたいなシステムを作りたいけどどうやって作る?など。これは練習できるので、 YouTubeなどでSystem Designの動画を見ておいたり、自分で実際に設計をしてみたりしておくのがよいです。自分が今やっているプロジェクトの技術的な詳細を理解しまとめておくこともいい練習になります。

最初の電話面接は大体45分 – 1時間ほどしかないので、上記のポイントを駆け足で巡っていくことになります。大体最後に候補者から質問をする機会があるので、いくつか質問を用意しておくことも必要です。

ステップ3 オンサイト面接

電話面接を通過するとオンサイト面接になります。通常オンサイト面接ではHiring Managerを含むチームメンバーが4−5人とそれぞれ1時間弱面接することになります。個別具体的なポジションだと入社後に一緒に働くメンバーの場合が多いですが、役割に対して人を取るような場合だと、入社後全く会わない人が面接官で出てくることも往々にしてあります。

また、最近のCovid−19の状況を鑑みて、オンサイト面接はVideo Conference Callになりがちです。他方ステップ2の電話面接も映像付きのVideo Callになったりするので、ステップ2と3の違いは面接人数と時間(深掘りのされ方)の違いだけになりつつあると思っています。エンジニアの場合にはここでコーディング面接が入ってくることが多いと思います。

この辺りは、Metaだと以下のようなWeb上のサイトに実は全てまとまっています。質問例も載っています。

https://www.facebookcareers.com/tpm-prep-onsite/

Amazonだとこの辺りです。

https://www.amazon.jobs/en/landing_pages/interviewing-at-amazon

ステップ4 オファー&給与交渉

めでたくオファーが出た場合には、そこでRSU,サインオンボーナスなどを含めた給与が提示されます。複数社ののオファーを同時期にとって、あちらではこういうオファーをもらったという話をしながらオファーをあげてもらう、というのが基本的な戦略と聞きます。条件で検討するべき内容や交渉の仕方についてはMorihiro Ryuさんの以下の本「エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢」に詳しいです。

給与については以下のサイトが参考になります。

Levels.fyi 各社のJob level と給与の大体の相場がわかります。

https://www.levels.fyi/?compare=Google,Facebook,Microsoft&track=Software%20Engineer

RSUなどについては以下の一連の記事が非常に参考になります。AmazonとMetaでRefresherのつけ方が違うなど、この一連の記事を読むまで知る由もありませんでした。

で、シリコンバレーでいくら稼げるのか(Part 9)

https://anond.hatelabo.jp/20201101061517

参考になれば幸いです。

アメリカでPM (Product Manager, Project Manager, Program Manager)として働く際のおすすめ図書7冊

気づけばアメリカに渡ってPMとして大小のプロジェクトをリードしてきて6年以上になる。今回機会があったので、日本からアメリカのソフトウェア業界でPM (Product Manager, Project Manager, Program Manager) として働くときの参考図書をまとめてみた。厳密ではないけれど、上からなんとなくおすすめ順になっている。

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

ソフトウェア開発のプロジェクトマネジメントプロセスをEnd to End で説明している本。細かいメソッドの差こそあれ、全体的な流れの説明は非常に的確でまとまっていると思う。この中でも特に一冊、ということであればこれを挙げます。アメリカでソフトウェア開発に携わっている経験にとても当てはまっている。

カンバン仕事術

比較的新しめで、アジャイル的なアプローチであるカンバンをどのように既存のプロセスに当てはまて改善していくかという本。具体的な話が多いながらもポイントがよくまとまっているという印象。開発プロセスの話が中心だが、PM的なタスク管理にも当てはめられるところがあり参考になる。

体系的ソフトウェアテスト入門

ソフトウェアテストのやり方についての良いまとめ。Test Strategyからテストケースに落とし込んでいくアプローチ、テストプロセス自体の改善、テストチームのあり方などについてテストに関わる内容の基礎が網羅されている。PMの仕事に直接は関わらないものの、テストチームの仕事内容のレビューやフィードバックに非常に参考になった。地味な本だからなのか絶版になってしまっているようで惜しい。

Being Geek ―ギークであり続けるためのキャリア戦略

ソフトウェアエンジニアのキャリアについてをまとめた本。エンジニア向けなのでPMという観点からは少し異なるところもあるが、ソフトウェア開発に携わるという意味では重なるところのほうが多い。また、エンジニアのメンバーがどのようなことを考えているのかという一端を知るという意味でも参考になる。

エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド

個人のキャリアとしてみたときに、そもそも日本人としてアメリカで働くということはどういうことかについて述べている。PMのキャリアにとどまらず、幅広く日本からアメリカに渡ってソフトウェア業界で働くとはどういうことかとを考えるときにおすすめ。コード面接の話などはエンジニアでないと直接関わることはないが、生活、転職などについては広くソフトウェア業界に当てはまるものになっている。

アジャイルサムライ−達人開発者への道− 単行本(ソフトカバー)

アジャイル開発の流れをまとめている本。行間が広めでかつ開発者寄りだが、スクラムをやるにあたって知っていたほうがいい内容が一通り抑えてある。

世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 トップIT企業のPMとして就職する方法

プロダクトマネージャーの役割、その就職活動のための面接方法などをまとめている。Product Managerがどういう役割で何を期待されているかを知るという観点では悪くない。

グリーンカードの取得プロセス

アメリカに来て5年、ついにグリーンカードを取得した。忘れないうちにここまでの流れを簡単にまとめておく。H1-Bの雇用ベース申請の話で、修士を持っていたのでEB-2のカテゴリになる。全体の流れについては以下のページが参考になった。

http://www.happyschools.com/employment-based-green-card-steps/

なおこれは2016年5月現在の話であくまでも自分の体験談なので、詳細は各移民弁護士の方にご確認ください。

1) 2014年春頃

会社にグリーンカード申請の手続きを依頼、PERM申請のための書類を集め始める。この辺りの作業はほぼ会社で契約していただいた移民弁護士の方に依頼。

2)2014年8月

PERMの第一ステップとして、 Prevailing Wage Request を申請。これが Department of Laborで2ヶ月ほどPendingになる。

3)2014年12月

ようやく第一ステップの許可が降り、第二ステップとして、Recruitingのための掲示をオフィス内に掲示。2週間は剥がさないようにという指示があった。二週間の掲示の後掲示したものを弁護士に送付。

4)2015年9月

承認されたPERMが移民弁護士のもとに届く。Priority DateがCurrentだということで、I-140とAOS (Green Card/I-485)申請の準備を開始。以下の書類が必要だと言われ準備をすすめる。

  • I-485 についての質問について回答
  • 予防接種
  • 写真
  • 追加のドキュメント(戸籍謄本、パスポート、I-94)

健康診断は、過去の日本の情報を説明すれば一部は免除されるかもという話があったので日本の母子手帳などの情報を集めたのだが、当日説明しても証明ができていないと言われ結局全部受けることになる。たまたまその年度分の健康診断をまだしていなかったので一部はそれでカバーされたものの、結局妻と2人で$250ほどかかった。医師からの診断書は開封してはいけないと念を押されることになる。

戸籍謄本については翻訳した人のサインが必要で、誰か第三者でないといけない。自分の場合にはたまたま弁護士側で対応していただいた方が日本人だったのでその方にお願いした。また、日本式の婚姻届を出したのがサンフランシスコだったのだが移民弁護士の方からその内容について懸念の指摘を受ける。アメリカで結婚の届け出をしたのであればアメリカ式での婚姻をしておいたほうがいいと言われ、アメリカでも婚姻届を出しMarriage Certificateを提出。

パスポートは古いものもあれば良いと言われ、妻の期限切れのものも合わせて5冊分を提出。全ページのスキャンが必要だった。

すべての書類がそろって提出できる状況になるまでに2ヶ月ほどかかった。予防接種が予約を取り、実際に打ち、書類をもらうというところまでやるのが時間がかかることになる。

5) 2015/11/18

I-485とAOSの申請書類が移民弁護士からUSCISに提出される。

6) 2015/12/1

USCISからReceive Noticeが届く。以降AOSのスタータスについては以下のURLからReceipt Numberを用いて確認できることになった。

https://egov.uscis.gov/casestatus/landing.do.

7) 2016/1/7

指紋採取が2016/1/19に決まったとの連絡あり。当日は朝8時から開始ということで7時半頃から待機したものの、Dallasのオフィスは全く混んでいなかった。7時50分に一番乗りで並び、8時半には指紋採取完了。これで情報としては全てを提出したことになる。

8) 2016/2/19

AOS – EAD/AP card が届く。これで法的には労働可能になる。ただ移民弁護士の方からは、特に利用したい特別な理由がなければ使わなくて構わないという指示あり。振り返ると結局何に使うこともなかった。

9) 2016/4/18

移民弁護士の方からGreen Card が届いたという連絡があり、その数日後に実物が手元に届く。”Welcome to the United States” の文言にはちょっと感動した。

結局申請を考えてから、2年ほどで取得できたことになる。人によってプロセスは千差万別だと聞かされていたが、2年弱は比較的スムーズと言えるのではないか。サポートをしてくれた勤務先には感謝しきり。

アメリカのIT企業で働くために行った英語の勉強法など

今の会社は完全な米国法人で日々のメインの業務で日本語を使うこと基本的にない。そういう環境なので,日本語教育をずっと受けていた自分が機能するようになるためにはそれなりの英語への投資が必要だった。
ベストとは全く思わないしまだまだ向上の余地が多々あるのだけれど,会社で参考情報としてまとめたら役に立つとほめられたのでここにも残しておく。アメリカ育ちとかでまったく英語に不自由のない人から見たらかなり泥臭いことをしていると思う。これを日本にいて8年くらいやった結果、ある日アメリカ人しかいない職場に放り込まれても一応Managerとして機能する程度の英語力はなんとか身についた。自分は残念ながら言語のセンスはないコツコツ型なので、センスがあればもっとすぐにうまくなるはず。

1. 文法
少なくとも自分の場合には大学受験の時に積んだ英文法の知識が相当役に立っていて、実は受験以降まともな文法の勉強はしていない。大学受験の英語は全然バカにしたものではない。世の中にはフィーリングで覚えられてしまう人もいるみたいだけれど(うらやましすぎる)、個人的にはフィーリングで覚えられないので仕事・日常会話・メールなどすべてにおいてこの知識は不可欠だと思った。英文法解説という本がおすすめ。こっちにも持ってきた。

http://amzn.to/pr71qa

この本は辞書的に使うので、実は英文法の基礎がよくわかんないっすという場合には高校生レベルから復習ということで以下の本がいい。これに限らず伊藤和夫先生の本は一般的に非常に正攻法で参考になる。

http://amzn.to/qsUbMe

2. Listening
これがないと仕事では生きていけない。Nativeの人は下手な英語を聞く努力はしてくれるけど、ミーティングとかで一人のためにゆっくり話をするモチベーションはないしこちらからもそれは頼めない。
自分の場合にはCNNのpodcastとSteve Jobsのスピーチを毎日の通勤・通学の行き帰りに聞いていた。わからなくても聞き続けるとなんか聞けるようになる。後者はスクリプトみながらシャドーイングもした。

http://www.cnn.com/services/podcasting/
http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html 
itunesUのStanfordからmp3が落とせたはず。もうJobsもいないと思うと少し寂しい。

どうしてもわからない場合にはこの辺がもう少しハードルが低い。
http://www.eslpod.com/website/index_new.html

あと古いけれどFriendsという海外ドラマを英語字幕で見ている。最近だとGleeとかもいいかもしれない。Friends, Gleeは普通に面白いのでおすすめ。FriendsもGleeも複数シーズンあるけど律儀にSeason1から観るべき。
3. Writing
MBAを視野に入れるなら、TOEFLでも必要になるので早めに始めといた方がいい。MBAに限らず最近の日本の大学院・海外大学院に行くならどこに行くにしてもTOEFLは必須になるはずで、かつこれは一人ではどうしようもない。自分は以下のところでNativeの人に添削してもらっていた。

http://www.cz-training.com/

練習問題はこんな感じ。慣れないと最初は書けないと思う。
http://www.cz-training.com/toefl/practice.html

4. Reading
特に意識したことはなかった。文法がしっかりしてて単語があれば興味あるTopicなら普通に読めるようになるはず。文法がなくて雰囲気で読んでしまうとなかなか上達しない,というのはあるかもしれない。

5. Speaking
場数が勝負だと思う。最近は便利なことにフィリピンの人とSkypeで30分200円くらいでしゃべれるというサービスがたくさんある。有名どころはレアジョブとか。
http://www.rarejob.com/

こちらに来る前の一年くらいの間自分は以下のところで週2-3回30分くらい話をしていた。
http://www.italkenglish.jp/login.php

ただ今見るとレアジョブの方がサポートがしっかりしていそう。Speakingも今はTOEFLで必須なので,点数取りたいなら早めに始めておいた方がいい。

6. 発音
目下自分の最大の懸念がこれ。正直油断すると(油断しなくても)通じなくてorzとなることが多々ある。今は週二回以下のサイトを利用してSkypeで発音を見てもらっている。数ヶ月前よりは大分まともになった。と信じたい。

http://www.speakmethod.com/500wordsintroduction.html

7. 単語
単語カードとか作る人もいるけれど、自分はそこまでやる元気がなかったので英単語の本を読んでいた。同じ本を10回くらい読むとさすがに覚えてきて、50回くらい読むとほぼ覚えられた気がする。一つどれでもいいから単語の本をしぼってそれを読み続けるのがいいんじゃないかと思う。最近はやってないけれど、TOEFLを受ける前とかは結構やっていた。

あとは英辞郎のiPhoneアプリなども結構役に立つ。
http://www.alc.co.jp/elearning/app/powerwords/index.html

8.まとめ
いろいろ書いてみたけれど,最終的に大事なのはやる気じゃないかと思う。自分で言うのもなんだけど日本にいたときは日本語教育をずっと受けていた人の中では比較的英語ができる人扱いだったので(こっちではまともにしゃべれないかわいそうな人扱いだが)いろいろな人からどういう練習をしてるか聞かれていた。そのたびに上記の全部/一部を紹介したけれど,正直続けてる人はいないように思う。逆にFriendsの全セリフを書き起こして勉強しているという人の話を聞いたこともあるけど,そこまでのやる気と根性は出なかった。

もっともスーパーエンジニアなら英語片言でもC++/Javaなどで語れるので結構何とかなるかもしれない。自分はPMなのでここにはもうしばらく投資をし続けるつもりです。