どうやら結構売れている本らしく,うちの近くの本屋にも平積みされていたので読んでみた.
「国家の品格」という題名ではあるが,米主導のグローバリズム,市場主義、さらにはそれらの考えを支える基盤となってきた近代合理主義精神に対する異論がメインになっている。
論理や近代合理主義精神の限界によるひずみが、日本を含めた先進国全体であらわれてきている。今こそ日本は,これまでとは異なる価値観,すなわち武士道を道徳とし,発信することで,世界の中で尊敬される国になるべきだ.それが日本という国家の品格をあげる道であり、世界の中でも特異な文明を持つ日本ならばそれは可能なはずである。
筆者の主張を一言で表すとこういうものだと思う.
筆者の方は数学者であり,またかつては論理主義だったらしく、ただの感情的な「アメリカ追従じゃダメだ」、「市場原理主義はダメだ」という主張ではなく、論理的に話が通っているので読みやすい.少し「日本と日本人は本当に(いい意味で)特殊なんだ」という主張が強すぎる気もするけれど,自分には国レベルや民族レベルの判断ができるような経験はないから,そういう風に思う人もいるのか,と思うにとどめる.
論理の出発点の選び方は論理的には決まらないから,そこで情緒などを含めた総合的な判断が必要になる,という話や、論理的な思考の量的評価をするためには、知識や情緒,大局観が必要になる,という話は非常に面白かった.
自分も日本が好きで,最近の拝金主義的な雰囲気はあまり好きではないので,この筆者のいうことにはおおむね賛成できる.ただ、この考え方を広めていくことは結構大変なんじゃなかろうか.筆者は道徳のような価値観は押しつけで「ダメなものはダメなんだ」という伝え方をしなければならない,というが、論理至上主義の考え方を持つ人の行為(筆者は時間外取引を挙げていた)に対して「その行為は卑怯だからダメだ」といっても耳を貸さないだろうと思う.
現代の世間で常識となっている近代的な合理主義精神、論理主義に異論を唱えているので,目から鱗が落ちるような心境になることが多くあります.人によってはちょっと反動にすぎる、と感じるところはあるかも.
文章って書いてないとすぐにかけなくなるな.