2006年12月アーカイブ

ウェブ進化論をきっかけに、この一年の間にウェブ世界の第一人者としての地位を確立した梅田望夫氏と、作家の平野啓一郎氏とがウェブをきっかけに変容する人間について行った対談をまとめた本。

対談ものは程度の差はあれ一人の作者が書いた本に比べると話が拡散しがちで、結論も曖昧なまま論点がうつる傾向がある.そこがどうもなじめないので普段対談ものは読まないのだが、この本は一気に読み終えてしまった.梅田さんと平野さんの意見の相違点が明確で、またたんなる論戦の張り合いではなく創造的な議論が行われていたせいかもしれない.

この前のウェブ進化論をふまえて読むと、人間論をいろいろ考えたくなるので、好きな人にはすばらしく考えるきっかけを与えてくれる本だと思う.だがウェブ進化論のように現状を体系化して知識を与えてくれる本ではないので、基礎教養知識の充填剤としてはあまりむいていない.(だからウェブ進化論ほどは売れないんじゃなかろうか)

対談が進んでいく中でいろいろな対立構造がでてくるのだが、ものすごく雑にまとめれば、リアル世界の視点から平野さんが梅田さんの話を聞き、疑問や意見を述べ、そこから話題が膨らんでいくという形式となっている。
以下雑なまとめが続くのだが、梅田さんの立場は、ウェブによって知識や情報の量が爆発的に増加することの可能性はすごい、グーグルはすごい、その中で個人がどう生きていけばいいか考えよう、という立場.
対して平野さんは、リアル世界と完全に切り離された主体ができる点に新しさを見いだすが、それはリアル世界への無関心につながってしまうのではないかと懸念を抱いている、と言えると思う.
もっとも、お二人ともリアル世界の方が社会的な影響力は圧倒的に大きいという意識は共有している.

意外なことに、自分としては平野さんの意見に頷くところが多かった。グーグルはすごいという梅田さんの言葉はわかるんだけどちょっとほめ過ぎなんじゃないか、という思いがあったのも一因だろう。だがそれ以上に、平野さんが気に入った知識しか手に入れなくなることを懸念していることや、個人は社会に対して何をなすべきかということを考えの基盤においていることが大きな理由だと思う.

一つ気になったことは、本書の中ではウェブとインターネットがあまり区別されずに使われていること.自分がエンジニアだからというせいもあるのだろうが、ウェブはインターネットの上の一アプリケーションという思いがある.

さらにいえば、自分はこれからの時代は再びインターネットなのではないかと考えている.すなわち、インターネット->ウェブときて、httpでブラウザを経由して情報をとる、という現状から、さらにダイナミックにインターネットがリアル世界を浸食してくる時代へ。
すでに携帯電話、DS,Wii,PSP とインターネットにつながるリアル世界の端末はどんどん増えてきている.YouTube はその端緒にすぎないのではなかろうか。

ウェブ人間論の先の、そのようなネット人間論の視点をもっと見てみたかった.



面接で一番大事なのはコミュニケーション能力だと言われる中、コミュニケーションとは技だという視点で書かれた本.

といっても面接対策本やウケる話をするための技術、みたいな薄っぺらい本ではない.コミュニケーションを意味や感情をやり取りするための行為と定義し、その際のコミュニケーション能力とは意味を的確につかみ、感情を理解し合うために必要な能力とする.

その上で、コミュニケーションをする体の基本原則として、
目を見ること
微笑むこと
頷くこと
相槌を打つこと

をあげ、さらにその上でコミュニケーションのための技法として基本的であるが故に応用可能な「技」を紹介している.

日々無意識に行っているコミュニケーションをメタな視点からとらえて要素を抽出しているので、普段の対話の中で気づかずに利用していた暗黙知が、明文化された形式知としてわかりやすく頭に入ってくる.もともと自分は著者である斉藤孝氏の考え方は好きで、著書もいろいろと読んでいるのだが、この本はその中でも頷くところが多いものだった.おすすめです.

前の前のエントリでも書いた通り、渡辺千賀さんのヒューマン2.0
出版記念パーティに参加させていただいてきました。

本については前のエントリで書いたので、ここではパーティの様子について。


「有名なブログを書いているブロガーの方々に献本しようと思ったが住所がわからないので、だったら一ヶ所に集まってもらって配ってしまおう」というのが開催の趣旨だそうです。
実際、その筋では有名なブロガーの方(弊社CEOとか)がいろいろといらっしゃってました。

思ったよりこじんまりとした内輪なパーティで、参加者は50-60人くらいだったでしょうか。部屋の片隅にぽつんという状況はつらいなと思っていたんですがそれも杞憂に終わり、いろいろな方とお話や名刺交換ができて非常に刺激的でした。大学/大学院所属の人も何人かいて、妙な連帯感。

渡辺さんいわく、シリコンバレーで働くのに一番大事なのはビザだよ、とのことでした。そんなもんなのか。

知らない人しかいないところでの立食パーティはだいぶ慣れてきたけど、まだ正直疲れますね。
立食のコツ、の体験談を激しく希望。

そして自分の英語の不十分さを改めて確認。もっとしっかりやらないとだめだな。

発売記念パーティに参加させていただいてきました.そっちについてはまた別エントリに譲ることにして、まずは本の感想から.

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「web2.0 っていうけどさ、今年は流行ったけどさ、それって個人の生活にどうかかわってくるの?」という疑問(より正確に言えば、一般的な情報インフラとしてのインターネットの普及は個人の生き方にどのような影響を与えるのか、という疑問)に対して、シリコンバレーという極端な場所を引き合いに出しつつ一つの視点を与えてくれる本、という説明でいいのではないかと思う。

本書の「はじめに」にはこうある。


さて、本書にはいくつかの読み方がある。
1.異国の地で起こる変わった人々のオトギバナシとして読む
2.日本での働き方・生き方の参考にする
3.モノは試しでシリコンバレーで働いてみるための参考にする


本当にこの前書きの通りの本である.基本的にアメリカとシリコンバレーの今について、具体的な事例を引き合いに出しつつ語っているのだが、それらの事例がいちいち「人生はドラマだ」状態で、それだけでもおもしろい。その中でも、日本でも思い当たる節がある、あるいは近い将来日本にもそういうことが増えるだろうな、と思える事例も多く、自分のキャリアの合わせ鏡として読まずにはいられなくなる。シリコンバレーについての話は生々しい体験談とデータが特に豊富で、抽象的ではなく実用的に参考になること請け合い.


特に会社と社員の関係の変化や、そのような状況に対応するために既存の社員の枠にとらわれない仕事の仕方の話、そして

「大学を卒業したら大企業に就職する.大学での専攻と入社希望先企業の仕事の中身が少々合わなくてもそれほど問題ではない.(中略)社員は会社に忠誠を誓う代償に、安定と予測できる未来を得る.」

これ、日本のことを説明した文章ではありません.アメリカの70年代までの大卒のキャリアについて書かれたもの.


という箇所はちょっと目から鱗が落ちた.

30年前に今の日本と似たような状況だったアメリカが今どのようになっているのか.ということを知ることは、今後のキャリアを考えていく上で参考になる部分が多いのではないかと思った次第.少なくとも社会人第一歩で大企業を選択しなかった自分には、いろいろとためになる部分が多くありました.

筆者である渡辺千賀さんのブログ

On Off and Beyond

を読んでみて、ちょっとでも気になった方はぜひ下のリンクをぽちっと。
1冊もらったら5冊売らないといけない縛りがあるそうなので.

無線LANルータも無償配布! 「FON」が日本で本格稼働 − @IT
http://www.atmarkit.co.jp/news/200612/04/fon.html

上記記事にあるように、FONとは「ユーザー自身がアクセスポイントを開放することで全世界レベルで公衆無線LANアクセスのローミングを実現するユニークなサービス」です。
日本でも本格稼動が始まる、かつ12月9日まではルータがタダ、ということで早速申し込んでみました。
無料といいつつ代金引換なので1000円弱かかります。
とはいうものの10日以降はルータが1,980円かかるので、興味のある方は今のうちに。

詳しい利用方法などの解説も上記記事にありますのでそちらを参照してください。
個人のプロバイダ契約にただ乗りしているのは事実なので、プロバイダからの反発もありえますが、試みとしては面白いと思います。普及に期待。


FON
http://jp.fon.com/

知る人ぞ知る渡辺千賀さん(お会いしたことないですが)が本を出されるそうです.
ブログにトラックバックすると本がいただける(かもしれない)ということで、ヒューマン2.0出版記念パーティーというエントリにトラックバックしてみます。

ブログやインターネットがなかった数年前まではあり得なかったであろう人的ネットワークが、簡単に広がっていくかもしれないことを思うとすごいですね。


2006/12/3 21:50 追記:
行かせていただけることになったようです.ありがとうございます。
書いてみるものだ.

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