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2005年の本。ブックオフで衝動買いしてしまった。


グローバル化により今までの国内市場+貿易という形ではビジネスが成り立たなくなってきたということが趣旨になっている。基本的に言っていることはフラット化する世界と同じだが、同じような意図の話がほぼ同時期に別の著者からでてきたということは、大きな流れとしてはやはりこれらの本が述べている方向に向かっていると思わざるを得ない。


本書ではインターネット、Windows, 英語,米ドルといったグローバルなプラットフォームの整備により、これまでの政治経済のバックグラウンドとなってきた国民国家とケインズ経済学というシステムが限界に来ているということを述べている。その上で、これからのグローバルエコノミーの核になるのは地方分権的な国家(地域国家)であるとし、その例としてアイルランド、フィンランド、シンガポール、そして中華連邦のような形になっている中国の各地域を挙げている。


比較的厚い本なのだが論理が整然としていて、またバックグラウンドとなる知識がかなり入っていることもあってスムーズに読み込めた。ハードカバー500ページ一気読みは久しぶりだ。これからの世界についていろいろなところで言われていることがすっきりとまとまっている印象。また、経済学の歴史について簡単にまとめられており、そこは自分に取っては新しい知識として新鮮だった。


大前研一の言っていることが実際が実際の日々の仕事に役に立つと思ったことはあまりないし、ネット界隈ではもう年だからダメだというような論調もある。けれど、コンサルタントとしてのグローバルなビジネスの経験は日本トップクラスであるという事実はあり、やはりそれだけにこれからの社会・経済のあり方については的を射ていると思う。


大前研一 新・経済原論



フラット化する世界 [増補改訂版] (上)


フラット化する世界 [増補改訂版] (下)


IPTV業界研究。

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IPTV業界の(いまのところ)端っこにいる人間として読んでみたIPTVに関する本二冊。


IPTV革命-放送・ネット・モバイルのビジネスモデルが変わる


テレビ進化論


IPTVというのは、ものすごく簡単にいうとインターネットでテレビを配信しようとするサービス。現状だとBフレッツかフレッツ光ネクスト経由でSet Top Boxと呼ばれる箱か対応するテレビを利用して視聴することになる。BフレッツでCATVをやっているというのが、少なくとも現状では一番イメージしやすいかもしれない。


IPTV革命では、5月に始まった地デジのIP再送信、12月から始まるNHKオンデマンド、昨年12月の放送法改正に伴って可能になった民放業界の再編に注目して、IPTVと放送のビジネスモデルがどう変わっていくかに焦点が当てられている。事実関係が整理されていて、現状を把握するのにうってつけの本と言える。
ただ、ダウンロードサービスにやたらこだわっている理由がよくわからなかった。端末に近い立場から見ると、ユーザの手元にコンテンツを保存することにはデメリットが多い。STBで保存するためにはハードディスクを抱え込まなければならず、端末単価が上がってしまうし万が一データが飛んだ時の保証が難しくなる。ユーザの持つHDDレコーダとの連携という選択肢もあるが、さまざまな端末とSTBの連携は仕様の擦り合わせというところでいろいろとハードルが高い。なにより、見たい時に見られないというのはユーザが持つテレビへの期待をあっさりと裏切ることになる。
というようなことを考えていくと、回線が十分広がることを期待してシンクライアントでストリーミング配信を行うという今の形の方が長期的には正しい気がしてならない。


テレビ進化論の方はもう少しユーザよりの観点からの分析になっていて、コンテンツ業界とインターネットの潮流についてより多くの考察が行われている。個人的に参考になったのは第四章「次のテレビ」の誕生、という章。


IPTVを現状の放送と比較した際の大きな特長の一つは、IPが故の双方向性を前提にしてサービスが可能なことにある。テレビにおける双方向性とは、具体的には視聴率やユーザの視聴しているコンテンツを正確に把握できるという形で表れてくる。また、IPベースの双方向性は、当然ながらウェブやモバイルとのシームレスな連携も可能にする。これは受信側を操作できない放送では基本的にはできない話で、どうしてもやろうとするとQRコードで携帯に誘導するような形になってしまう。
テレビ進化論の中ではIPTVという単語は明示的にでてきてはいないが、ユーザの嗜好を反映したマイチャンネルという考えはIPTVが持つ双方向性と非常に相性がいい。これをサービスとしてどういう付加価値として押していくかということも、コンテンツの拡充などと並んでIPTV普及のための重要なポイントとなる気がしている。


IPTV業界研究として読んで損はない二冊でした。目指すべきポジショニングもすこし明確になった気がした。


...長い文章はなかなかまとまらないですね。特に久しぶりに書くと。修行あるのみ。

遅ればせながら今週は夏休み。今年に入ってから精神的・体力的に持ち出しが続いていたので、この機会にしっかりと充電しておこうと思います。

ブログの更新間隔がだいぶあきました。久しぶりの更新ということで最近(週末)読んだ本二冊。のその一。(と書いておくことで近日中の更新を自分に課す)


会社は頭から腐る--あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」



第一章 人はインセンティブと性格の奴隷である
第二章 戦略は仮説でありPDCAの道具である
第三章 組織の強みが衰退の要因にもなる
第四章 産業再生の修羅場からの臨床報告
第五章 ガバナンス構造を徹底的に見直せ
第六章 今こそガチンコで本物のリーダーを鍛え上げろ


今はなき産業再生機構の責任者が、企業の再生に携わっていく中で気づいた経営の本質についてまとめている。

経営が人の営みである以上、各人の動機付けを如何に行い、合理と情理を正反合一させていくか。結局経営はそこに戻ってくるというのが経営についてこの本のいわんとするところか。自分の日々の仕事の中で見ること、感じることとを重ね合わせると自分なりにいろいろと思い当たる節がある。というより、やっといくつかの小さな節に思い当たれるようになった。

そしてこの本でもまた、年功序列・終身雇用に代表される日本型経営は1980年代半ばに限界に達し制度疲労を起こしているといわれている(第三章)。30年間、一世代の高度経済成長が故にいつのまにか日本人は「確実なことは世の中が不確実なことである」ということを忘れてしまった、という指摘は、日本という国全体にはかなり当てはまることなのかもしれない。

経営・日本のこれまでとこれから・これからのリーダーとは、という三点でかなり自分にはヒットした本だった。最近軽い本は立ち読みで読了したりしていたけれど、久しぶりに噛み締めるように読めた。


週末はひょんなことから自宅でモノポリー大会。資本主義の縮図。後半ちょっとだれたけどなかなか楽しかった。またやろう。次回はモノポリー選手権ルールを導入するべきか。




それなりの読書量と知識量があると、本を読む時に知っている部分やあまり重要でない部分を読み飛ばすことができるようになるのが一般的だ。
自分の場合は web関連の本、特に新書はかなり早く読めるのだが、この本はそのカテゴリに含まれるにもかかわらずかなりじっくり読むことになった。

第一章 そもそも情報は伝わらない

第二章 いまウェブで何がおきているか

第三章 英語の情報がグローバルに動く

第四章 生きる意味を検索できるか

第五章 ウェブ社会で格差をなくすには


この本では情報学の立場から見た時のWeb2.0の捉え方を述べ、そしてウェブ進化論に代表される楽観的なウェブ礼賛論のあり方に釘を刺している。
批評の仕方も地に足の着いたもので、楽観的だからダメだ、のような感情的なものではない。情報学における情報の定義からはじまり、社会的な情報の伝達、メディアのあり方、アメリカという国の宗教的な背景を含めた思想、シャノンの情報理論、生命システム論、人工知能、第五世代コンピュータなど、さまざまな角度から「Google を中心とした集合知とウェブ2.0的なシステム」に対して疑問を投げかけ、あるいは警鐘を鳴らしている。

最後急に団塊の世代の話になったり、地方の情報化に地域SNSが有効だといういまいち納得できない話がでてきたりしたのはちょっと興ざめだったし、最後「いったい夢をもてる活路はどこにあるのでしょうか」という問いが投げかけられる割には尻切れトンボで終わってしまうのが微妙に消化不良として残る。
だが全体としては非常に面白い本だった。Amazon には「アンチウェブ進化論」とのレビューもあったけれど、むしろウェブ進化論を補完する本ではないかと思う。
梅田氏との対談をぜひ見てみたい。茂木健一郎氏とのお互いにたたえ合うような対談よりはるかに密度が濃い対談となるような気がする。

多分野の前提知識を要求するので、ウェブ進化論より読みづらいと感じる人は多いと思うけれどお勧めです。

日本最大の匿名インターネット掲示板、2ちゃんねるの管理人であるひろゆき氏による著書。

この業界に興味があったり関わったりしている人で、Web2.0 、2ちゃんねる、著作権、winny、セカンドライフなどということについて思いがある人にとってはかなり面白い本ではないかと思う.少なくとも自分にとっては相当面白かった.いままでひろゆきという人は世間に対して斜に構えているようなイメージがあったけれど、それがあっさりと覆されてしまった.

本としてはかなり適当な構成の部類に入る。タイトルに対応する「2ちゃんねるがつぶれない理由」についての記述は、第一章わずか8ページで終わる.話題は脈絡なく飛ぶし、「〜だと思う」という表現ばかりでデータに基づいた記述のようなものはほとんどないし、唯一本人が書いたであろうと思われるあとがきではゴーストライターの人が書いてくれました、というようなことをあっさりと書いてしまう.しかもそのあとがきはあとがきで、支離滅裂な上に読者に結論を丸投げ。本当にただ後に書いただけで全然まとまってない.

このようなトンデモ本のような構成にも関わらず面白いのは、論理の脈絡などが見えづらい割には世の中を的確と思える形で判断しているのがそこかしこで読み取れるからだ.今まで真正面からはあまり切り込まれてこなかったことに対して、ものすごくメタでものすごく現実的な視点で物事を考え「続け」ているように思えてならない.2ちゃんねるとニコニコ動画という今の日本のインターネットを代表するサイトを作り出しただけのことはあるなと感じた.

梅田さんのweb進化論に対する「裏」入門という意味で、サブタイトルは的確だと思う.インターネット業界では基本的だが普通の人にはわからない単語が説明なしに飛び交うので本当の初心者には意味が分からない、という意味でも裏入門という名前はふさわしい.
そもそもひろゆきって誰、という人は買ってもしょうがないと思う.

素人にもわかりやすく経済学とはなにか、ということを教えてくれる好著.身近な例から話を広げていってくれるためわかりやすく、だからといって薄っぺらい入門書のようにものごとをはしょっていない.

-経済のモデルと価値を生む希少性について
-価格ターゲティング
-完全競争市場について
-外部性課金
-情報の非対称性
-ランダムウォーク
-ゲーム理論
-貧困国について
-経済のグローバル化
-中国について

ということがそれぞれ一章を割かれて論じられている.
理科系で育ってきた自分は、現状を解釈するだけで再現実験ができない経済学を低く見ていたところがあった.
だが、確かに本書を一読すると、資本主義社会における自分の判断を客観視したり、スターバックスに細かいトッピングがたくさんある理由が理解できたりするようになる.この本の中で筆者はそれを覆面経済学者の見方と呼ぶ..
世界の見方に軸を取り入れ、分析予測の手がかりになるという意味では経済学も学問としてそれなりの役割を果たしていることを実践的に理解できたのが自分にとっては収穫だった.

サブタイトルにもある通り、脳と心の本.認知科学の本なのか、心理学の本なのか、あるいはユーザインタフェースの本なのか、そういう区別がどうでもよくなるくらい面白い.
簡単な実験を通して脳の存在というものを意識して、それが脳科学的な側面からはどのように解釈されているのかということが100個の"Hack"として語られている.扱う内容も動物的な視覚、注意にはじまり、推論、記憶、他者との関係性までと非常に幅広い。中には知っていることで普段の社会生活がすこし過ごしやすくなるようなhackもある.

実験が簡単に体験できるようなwebサイトも用意されている。
単なる点の集合を人間として認知してしまう(#77)などは見ただけでわかるので、本書を読んでみるきっかけになるかもしれない(下のリンク).

http://www.biomotionlab.ca/Demos/BMLwalker.html


理性では説明できない反応を脳がしてしまっていることに気づき、さらにその「理性では判断できない」ということを判断しているのも脳であって、そうすると自分の意志というのはどこにあるのだろうか、というようなことを考えずにはいられなくなる.「脳が自分の意志とは無関係に機能する」ということにすこしでも興味を持つなら、読んでおいて損はない本だと思う.


話をしていて、最近小説、特に現代作家の小説をほとんど読んでいなかったことに気づいた.
修論の息抜きをしたかったという気分のところで、「顔のない裸体たち」を古本屋で発見したので購入.
ウェブ人間論の中で言及されていて、それ以来読んでみたいと思っていた.

出会い系サイトを題材にして、人間の二面性とネット世界とリアル世界の関係を浮き彫りにした小説.
新書とかと違って内容を書くとネタバレになってしまうので書かないけれど、ウェブ人間論を読んだ後にこれを読むと、平野さんの考えるところのネットのあり方、人間の二面性のあり方についてがかいま見れる気がしてくる.

自分の専門がバーチャルリアリティで、リアルとバーチャルについて、あるいは実体性について人より関心が深いせいもあると思うが、おもしろくて一気に読み切った.ネットだバーチャルリアリティだというけれど。やっぱり人間は肉体を持っている以上、肉体という物質のもつ制限にはとらわれるということに結論を見いだしてしまった。普通の人がどう読むのかはよくわからない。
話の細部にものすごいリアリティがあって、作家の想像力のすごさを感じられたことも久しぶりに小説を読んで新鮮に感知ることができたことの一つ。
どこまでが調査でどこからが想像なんだろう.

興味ある人いれば、貸します。
ただ描写が過激なところもあるので、電車の中で読んでいるところを横から覗き込まれると不当に軽蔑される可能性あり.

平野啓一郎 公式ブログ
http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/

ウェブ進化論をきっかけに、この一年の間にウェブ世界の第一人者としての地位を確立した梅田望夫氏と、作家の平野啓一郎氏とがウェブをきっかけに変容する人間について行った対談をまとめた本。

対談ものは程度の差はあれ一人の作者が書いた本に比べると話が拡散しがちで、結論も曖昧なまま論点がうつる傾向がある.そこがどうもなじめないので普段対談ものは読まないのだが、この本は一気に読み終えてしまった.梅田さんと平野さんの意見の相違点が明確で、またたんなる論戦の張り合いではなく創造的な議論が行われていたせいかもしれない.

この前のウェブ進化論をふまえて読むと、人間論をいろいろ考えたくなるので、好きな人にはすばらしく考えるきっかけを与えてくれる本だと思う.だがウェブ進化論のように現状を体系化して知識を与えてくれる本ではないので、基礎教養知識の充填剤としてはあまりむいていない.(だからウェブ進化論ほどは売れないんじゃなかろうか)

対談が進んでいく中でいろいろな対立構造がでてくるのだが、ものすごく雑にまとめれば、リアル世界の視点から平野さんが梅田さんの話を聞き、疑問や意見を述べ、そこから話題が膨らんでいくという形式となっている。
以下雑なまとめが続くのだが、梅田さんの立場は、ウェブによって知識や情報の量が爆発的に増加することの可能性はすごい、グーグルはすごい、その中で個人がどう生きていけばいいか考えよう、という立場.
対して平野さんは、リアル世界と完全に切り離された主体ができる点に新しさを見いだすが、それはリアル世界への無関心につながってしまうのではないかと懸念を抱いている、と言えると思う.
もっとも、お二人ともリアル世界の方が社会的な影響力は圧倒的に大きいという意識は共有している.

意外なことに、自分としては平野さんの意見に頷くところが多かった。グーグルはすごいという梅田さんの言葉はわかるんだけどちょっとほめ過ぎなんじゃないか、という思いがあったのも一因だろう。だがそれ以上に、平野さんが気に入った知識しか手に入れなくなることを懸念していることや、個人は社会に対して何をなすべきかということを考えの基盤においていることが大きな理由だと思う.

一つ気になったことは、本書の中ではウェブとインターネットがあまり区別されずに使われていること.自分がエンジニアだからというせいもあるのだろうが、ウェブはインターネットの上の一アプリケーションという思いがある.

さらにいえば、自分はこれからの時代は再びインターネットなのではないかと考えている.すなわち、インターネット->ウェブときて、httpでブラウザを経由して情報をとる、という現状から、さらにダイナミックにインターネットがリアル世界を浸食してくる時代へ。
すでに携帯電話、DS,Wii,PSP とインターネットにつながるリアル世界の端末はどんどん増えてきている.YouTube はその端緒にすぎないのではなかろうか。

ウェブ人間論の先の、そのようなネット人間論の視点をもっと見てみたかった.



面接で一番大事なのはコミュニケーション能力だと言われる中、コミュニケーションとは技だという視点で書かれた本.

といっても面接対策本やウケる話をするための技術、みたいな薄っぺらい本ではない.コミュニケーションを意味や感情をやり取りするための行為と定義し、その際のコミュニケーション能力とは意味を的確につかみ、感情を理解し合うために必要な能力とする.

その上で、コミュニケーションをする体の基本原則として、
目を見ること
微笑むこと
頷くこと
相槌を打つこと

をあげ、さらにその上でコミュニケーションのための技法として基本的であるが故に応用可能な「技」を紹介している.

日々無意識に行っているコミュニケーションをメタな視点からとらえて要素を抽出しているので、普段の対話の中で気づかずに利用していた暗黙知が、明文化された形式知としてわかりやすく頭に入ってくる.もともと自分は著者である斉藤孝氏の考え方は好きで、著書もいろいろと読んでいるのだが、この本はその中でも頷くところが多いものだった.おすすめです.

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